食べ物の質について

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就農当初、近所の先輩農家の70代と80代の方と道端で雑談した時のこと、
どちらの方も春には新品種の苗を定植すると熱く語られていました。
何歳になっても前向きに希望を持って農業に取り組まれている姿に、
私も斯くありたいと思いました。
そのためには、農業は体が資本ですからいつまでも健康で働くには
どうしたら良いのか?
さらには、食の基本に農業があり、それに携わる者として少しでも
健康で生きていくためのお役に立ちたいと言う思いもあり、いろいろな
本を読んでいく中で、知ったことは、“植物“と“人”はよく似ているという
ことでした。
私たちが食べたものが、消化吸収される場所が“腸”であり、血管を伝って
全身の細胞に運ばれて行きます。
この“腸”には、実に100兆個~400兆個もの微生物がいると言われています。
腸内の微生物には、ビフィズス菌や乳酸菌のように健康に良い菌と大腸菌の
ように健康を損なう菌と、さらにはどっちつかずの菌の三種類がいます。
私たちの健康を大きく左右するのが、この腸内にいる微生物のバランスなの
です。
病気への第一歩は、すべて食生活の乱れによる消化不良にあるそうです。
消化不良はこの腸内の微生物のバランスを崩し、腐敗状態になり腐敗菌が増殖
してしまいます。

一方、植物はどうでしょうか。
一つの場所に根を張って成長する植物にとっては、土壌こそが“腸”なのです。
土の中には多種多様な多くの微生物が棲んでいます。スプーン一杯の土の中
には数十億個の微生物がお互いにバランスを取りながら共生しています。
土壌が健康ならば、そこに育つ植物も生き生きしていますが、化学肥料や
農薬に依存した土壌は疲弊して、そこで収穫される作物の生命力も失われて
います。
どうでしょう?私たち“人”も“植物”も。お腹の中と土の中という住処の
違いはあれ、微生物のバランスが崩れることによって起こる現象はとても
良く似ていますね。
しかも、土壌環境の良し悪しが作物の出来につながり、その作物を食べる
ことで、私たちの腸の状態も変わってくるのですから、似ているだけでなく
お互いが有機的につながっていることがわかります。
毎日の食事が私たちの健康の鍵を握っているのです。

私がいつまでも農業を続けていくためにも、皆さんが健康で長生きして
いくためにも、ただ単に“安い”とか“見た目がきれい”とか、だけでなく
これからは食べ物の“質”について問い直す必要があると思いますが、
いかがでしょうか?

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