畑の土壌と同じことが人体内でも起こっていた!

3月20日の農業新聞に面白い記事が載っていました。

以下、その抜粋です。

こうした生活習慣病やメタボについての常識を覆すような新しい科学的な知見が、バイオテクノロジーの最先端から生み出されつつある。その一端を紹介したのが、英国の科学ジャーナリストであるアランナ・コリン氏の近著『あなたの体は9割が細菌』で、

ひと言で結論をまとめてしまえば、人類が20世紀半ばに天然痘やポリオや麻しんなどの伝統的な感染症を克服することができたのは、ペニシリンを筆頭とする抗生物質の発見と普及のたまものであるけれども、その抗生物質を“万能薬”であるかのように過信してむやみやたらに乱用するようになったために、人体内に共生して絶妙な働きをしている微生物を殺りくし、生態系バランスを破壊してしまい、その結果、アレルギーや花粉症、自己免疫疾患、過敏性腸症候群など消化器の病、自閉症などの心の病、そして肥満など、今までになかった現代病が蔓延した、というのである。

米国で65%もの人が過体重もしくは肥満であるという現状は、個人の意思薄弱や自己責任能力の欠如だけでは説明がつかない。しかし「肥満は抗生物質により誘発または促進された流行病だと考えれば、無益なダイエットよりも有効な方法を探す糸口が見つかるのではないか」と著者はいう。

先進国では必要以上に帝王切開による出産とミルク育児が増えて赤ん坊が“無菌化”し、医師が感染症を予防するために抗生物質を投与する。離乳して口にする肉類は、成長促進剤としての抗生物質をたっぷり含んだものだし、有機野菜と言ってもその鶏や牛のふんを肥料にしていれば、やはり抗生物質漬けである。

こうしてわれわれは、抗生物質の功罪という未知の課題に直面しつつあるのだが、それに立ち向かうには、まず、人体はヒト本来の諸機能と100兆個を超える微生物とが共生して初めて成り立っている絶妙精緻な生態系システムであるとの自覚が必要であることを本書は教えている。