当地では梅雨明けしてからほとんど雨が降らず、毎日カンカン照りが続いており
畑はカラカラに乾いています。
江戸時代の「説法詞料鈔」という本に次のような一節があります。
「たとえば、田畑の植物は、日照りには枯れ、雨降れば育つなり。これは人力に
よりて植えたる故なり。路辺に生いたる春草は、土より生じて人力によらず。
かかるが故に大地のうるおいの故に日照りに枯るることなし。」
毎日水をあげて丹精込めて育てている作物が、夏の暑さでしおれているのに
道端の雑草は青々と元気でいます。自然に生じるものは、人間の力の及ばない
強さがあります。
水を十分に与えられた作物は、根を必要以上に伸ばしません。余計なエネルギーを
費やすくらいなら、茎や葉を伸ばしたほうが良いからです。
しかし、水を与えられなくなった時、根の量が足りないと、乾燥に対して弱さをさらけ
出してしまいます。逆に水分が少ない状態で育つと、懸命に根を伸ばして根の量を増や
しているので、水分が少ない乾いた土の中からでも水を吸うことが出来るのです。
過酷な環境で育った雑草が日照りに強い理由のひとつです。
この“水”を“肥料”に置き換えても同じことが言えます。
自然農法で育った作物は、施肥されないので土の中の養分を得ようと必死になって
根を深く広く張り巡らします。
作物自身が内に秘める生命力を最大限に開花させて、必死になって生きようとするのです。
その強い生命力が子孫を残すために果実や種に注ぎ込まれるのです。